中国吉林省長春市、東北師範大学を訪問して

北野浩章

 この文章は、中国吉林省長春市、東北師範大学への旅(20103月)についての「感想文」である。北野のごく私的な雑感である。

長春

 長春は吉林省の省都であり、人口や面積の観点からは大都会と呼んで差し支えない規模の都市であった。ほとんどが車での移動だったのでこの都市の全貌を語ることはできないが、長春駅周辺に人々の活気や街の雑然さを感じることができるエリアがありそうだ。一方、郊外には新しくて立派なマンションやデパートが多い。ただ、まだ寒い三月の訪問だったので、気候に由来するマイナス印象もあるが、上海などと比べるとまだ垢抜けないところはある。マクドナルドはあるが、コンビニエンスストアは見当たらなかった(写真下)。


 愛知教育大学の学生が留学生としてこの長春で暮らす場合を想像してみる。コンビニがないとは言え、日本での生活を完全コピーしようと思わなければ、生活に必要なものはたいてい手に入る。大きなデパートやモールがいくつかあるようだし、日本語の歌は少ないらしいがカラオケ店もある。日本風の「温泉」もあった(ビルの中にだが)。日本料理店はあまりなさそうだ(しかし、大学キャンパス内の留学生寮では自炊もできる)。朝鮮料理の店は多い。もちろん中華料理店はいくらでもある。遠く離れた雲南省の麺料理である「過橋米線」の看板が目立ったが、これは長春に限ったことではないのかもしれない。

 留学生の語学の授業は午前中で終わる。他に中国語を学ぶ機会としては、日本語を学ぶ中国人学生と「相互学習」をするのが一般的である。現地の人々との接点としてはこれが一番大きいはずである。最初は物珍しい異国の街だが、いつまでも興味が持続するか、あるいは日本的なものに次第に回帰していくか、留学生はそこでバランスを取ることになる。

 私は暑い所が大好きで寒さは苦手なのだが、しっかり防寒着を着ていれば気温が0度でもマイナス20度でも体感はあまり変わらない。これは発見であった。

東北師範大学

 東北師範大学は、「師範大学」という名称とは異なり、実際には多くの学部を抱える総合大学である。広大な面積にキャンパスが広がり、大学の実力も中国国内で相当高い位置にあるという。キャンパス内に掲げられた大学のスローガンは「国内でも一流で、国際的にも名の知られた研究型総合性師範大学を建設する」というものである(写真下)。


 個人的に興味深い建物は「逸夫教学楼」である(写真下)。逸夫とは邵逸夫(通称ランラン・ショウ、北京語読みでShào Yìfū)のことで、1960年代から70年代にかけて香港映画の黄金時代を築いた映画会社ショウ・ブラザーズ(邵氏兄弟有限公司)の経営者であった人物である。教育への投資を惜しまず、彼の寄付による建築物は中国のあちこちの大学にある。地元香港にはどの大学にも彼の名を冠した建物があるらしい。かつて訪れたことがある香港大学にも邵逸夫」という建物があった。

 私のような香港映画好きにとっては、1907年生まれの邵逸夫氏はすでに伝説の人物であるが、実はご健在である。今でも公の場にも登場するらしく、ネット検索をすると「ミス香港コンテストに出席」という写真があった。このような大人物に中国の教育は支えられている。うらやましい話だ。